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臥頭狂一のエロ小説ブログ。※18歳未満閲覧禁止。

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陵鬼の森 ~浮気妻 紗江~ 中編 (36枚)


 小鳥のさえずりが紗枝を呼び覚ました。気を失っていたらしい。
 いったいこの森はどうなっているのか。どうして殺人鬼や化け物じみた大男がうろついているのか。なぜここに連れて来られたのか。
 何ひとつわからないまま歩き出す。喉が渇ききっていた。
 絶望に挫かれそうになりながら、紗枝は川のせせらぎをもとめてさまよう。




 小鳥のさえずりが聞こえる。太股のあたりが熱を持っていた。陽光に照らされているのを感じる。ふわりと、柔らかい風が吹き抜けていった。
 自然に目が開いていた。木の葉の間からまばゆい光が見える。晴れているようだ。ジャンパーを着ているとはいえ、寒さは感じない。
 上体を起こして周りを見渡す。腰くらいの高さの笹に囲まれている。紗江の周辺だけ、茎が折られ、なぎ倒されていた。犯された場所はここだったのだろうか。
 紗江は木漏れ日が降り注ぐ下半身に視線を移した。太股から足指の先まで、赤い線が無数に駆けめぐっている。擦り傷だらけだった。わずかな陽光に炙られただけだというのに、火傷を負ったようにひりひりと痛んだ。
 照りつける光を避けて立ち上がる。股間に異物感があった。膣の奥底が広げられたままになっている気がする。紗江は薄闇の中で見た大男の姿を思い出していた。
 化け物。同じ人間とは思えなかった。人のことばを話さず、獣のようなうなり声をあげる巨漢。爛れて盛りあがった肌は醜怪そのものだった。普通の人間なら近づくことさえためらうだろう。フランケンシュタインに似たその巨体の化け物に、紗江は犯されたのだ。常識はずれの長く太い男根に、失神するまで貫かれたのだ。
 太股の内側に乾いた精液がこびりついている。気を失ってから、何度注がれたのだろう。膣内には大量の精液が留まっているかもしれない。洗い流したかった。
(クスリ……飲まないと……)
 膣内に幾度も射精されている。妊娠を防ぐには避妊薬を服用する必要があった。あんな化け物の子供など産みたいはずもない。そもそも子供じたい、好きではないのだ。新婚のころならともかく、出産も育児も長らく意識したことがなかった。
(妊娠……避妊……?)
 喉の奥からとつぜん笑いがこみあげてきた。堪えることができない。そんな気もなかった。
 何をとぼけたことを考えているのだろう。平和すぎる自分の頭脳がおかしかった。変になりかけているのかもしれない。この山から下りることができなければ、避妊など何の意味もないではないか。紗江は両腕で自身の胸を抱きしめ、けらけらと笑いつづけた。
 己への嘲笑は、しだいにかわいていき、ついには嗚咽になった。
「ううっ……うっ……もう、いや……」
 身をふるわせながら、むせび泣く。顔がぐしゃぐしゃだった。昨日から顔には手を入れていない。メイクがくずれていた。涙と汗のせいで目の周りのアイシャドウが流れ、泣き顔がますますひどくなる。
 もう駄目だと思った。たすからないのだと。
 猟銃を持った殺人鬼が山をうろついている。紗江をさらい、この山に放置したのは古森に違いない。おそらく、あの男は女を相手に狩りを愉しむ狂人なのだ。ランドクルーザーの後部座席で見た女の死体は、古森の獲物だったのだろう。紗江も数時間後にはあの横に並ぶのかもしれない。山に不慣れな自分が逃げおおせるとは思えなかった。
 古森の目をごまかすことができたとしても、あの化け物が追ってくる気がした。昨夜は犯すだけで去っていったが、今後はわからない。大男に理性が備わっているようには見えなかった。次に遭遇したときも解放されるという保証は、どこにもない。犯されるだけではすまないかもしれない。
 そもそもあんな化け物が山にいる理由も不明だった。古森が飼いならしているのかもしれない。いずれにせよ、危険なふたりの狂人が山中を徘徊していることに変わりはなかった。
 紗江の目には絶望しか映っていない。行方知れずと夫が気づいて通報しても、捜索されるのは先のことだろう。山にまで警察の手が伸びるのはさらに後だ。山菜取りに訪れて遭難したわけではないのだ。この山に紗江がいることなど、誰も知らない。
 それどころか、単なる蒸発と判断される可能性のほうが高かった。拉致された痕跡が残されていれば別だが、そうでなければ事件性があるとさえ思われない。人妻が亭主に愛想をつかして家を出て行くなど、珍しいことではないのだ。
 無事に下山できる希みはかぎりなく薄い。
 古森によれば町までそう距離はないとのことだが、信じるとしても何キロあるのか想像もつかなかった。だいいち、車で移動することを前提とした話なのだ。歩きで麓まで辿りつけるかどうかも疑わしい。それも古森やフランケンの目をかいくぐらなければならないのだ。どう考えても無理というものだった。
 まず、紗江自身の肉体が保ちそうにない。
 足の裏は破れ、血まみれだ。笹の原を踏みしめるだけで脳天にまで痛みが走る。加えて空腹と疲労。空きっ腹なのにからだが重い。長い距離を歩くことなどできそうになかった。殺人鬼や化け物に襲われなくとも、この場で飢えて死んでしまうのかもしれない。腐った自分の死体を発見されるところを想像して、紗江は発狂しそうになった。
 紗江は泣いた。吐き気をもよおすほどに泣きつづけた。ひとしきり泣いて全身の肌の感覚がおかしくなったころ、疲れきって屈みこんだ。
 泣くというのは相当に体力を消耗する。吐き気だけでなく、頭痛が紗枝を襲っていた。
 不快感に苦しむ暇はなかった。切実な欲求が、肉体をじわじわと責めはじめていた。
 渇きだ。
 喉が痛い。口の中もからからだった。大量に涙を消費してしまったせいで、紗江のからだは水分の摂取を強く要求していた。
 考えてみれば当然のことだった。飲み物を口にした最後の記憶は、昨日の昼なのだ。ラブホテルで、明俊との行為のあとに飲んだコーヒー。それから一滴の水も口にしていないのだ。むしろ、いままで渇きを意識しなかったことが不思議だった。不安と焦燥、嘆きと恐怖によって麻痺していたのだろうか。
 空腹ならともかく、喉の渇きに耐えられるものではなかった。ペットボトルに入った冷たいお茶が飲みたかったが、もちろんそんなものはない。きょろきょろと首を振って周囲を見回すが、水源は見当たらなかった。
 川! 山なのだから、川がどこかにあるはずだ。大発見をしたように、紗江は一瞬顔をほころばせた。しかし、それがどこなのかはわからない。耳を澄ませてみても、せせらぎは聞こえてこなかった。
 探すしか、ない。
 倦怠感が全身を包んでいた。足の裏は傷だらけで、頭痛までしている。だが、ひりつく喉の疼きは我慢できなかった。
 水が飲みたい。喉を潤したい。
 欲求が、重いからだを動かしていた。
 紗江は歩き出していた。



 皮肉なものだった。
 探しているのは川だ。水が流れる音をもとめて、紗江は痛む足を前へ前へと踏み出しつづけていた。
 応急処置として笹の葉を足に巻いてみたが、うまくいかなかった。うまく結んだつもりでも、十歩も歩くと解けてしまう。何度か直したものの、しまいにはあきらめた。ずきずきと脳にまで響く疼きに耐えながら、足を進める。
 喉の渇きは足の痛みをはるかに凌駕していた。汗ばんだからだは鉛を飲みこんだように重かったし、頭には断続的に鈍痛が走る。それでも紗江は笹薮を押しわけて歩いた。水を得るために。喉を湿らすために。
 なのに、道が見つかってしまった。欲しいのは飲み水だ。あれほど切望していた帰り道だったが、いま必要としているものではない。
 紗江はため息をつきつつも、道なりに沿って歩くことを選んだ。
 古森に発見されるおそれはあったが、やはり道を歩くほうが楽だった。硬い茎や端の鋭い笹の上より、柔らかい雑草や轍のほうが足の裏への負担も少ない。それに、でたらめに薮の中を進むよりは、川の音を聞きとりやすいはずだ。笹という遮蔽物が、少なくとも前後にはないのだ。もし古森の姿を発見したり、車の音が聞こえたら笹薮に飛びこんで隠れてしまえばいい。なんとかなる気がする。
 楽観的に見える思考は、裏を返せば自分へのいいわけに近い。
 限界が近いのだ。一面の笹原の中をかきわけて進む気力は、すでに残っていなかった。喉の渇きだけが、へとへとに疲れきった肉体を衝き動かしている。思慮を欠き、易きにつきはじめていた。
「暑い……」
 ファーのついたジャンパーはとっくに脱ぎ、小脇に抱えている。太陽が真上に見えていた。肌にはじわじわと汗が滲み出している。素裸でもまだ暑苦しかった。樹木が密生する薮の中と違って、日陰がところどころにしかない。裸身を日光に晒されていた。
 鈍重に脚を前に運びながら、紗枝の意識は飛んでいた。
 冷たいドリンクが飲みたい。お風呂に入りたい。エステサロンでたっぷりマッサージを受けたい。いつものカフェで、午後のティータイムを過ごしたい。
 昨日まであたりまえに過ごしていた日常が、ひどく遠い。幸せに慣れすぎて、飽いていた日々。退屈だと愚痴をこぼす生活は、離れてみればなんと贅沢だったことだろう。
 紗江はいつしか夫の顔を思い浮かべていた。
 感情を表に出すことは少ないが、祐治はおだやかでやさしい男だった。柔和な微笑みと誠実な人柄に惹かれて、紗枝は結婚を決意したのだ。
 暴力を振るうことはもちろん、声を荒げたこともない。言い争った記憶もなかった。
 紗枝は金のかかる女だ。結婚してからもブランドものの衣服や装飾品を好み、高価な化粧品を買いもとめた。昼は外食で済ませることが多い。浮気相手の明俊にご馳走することすらあった。
 趣味や美容の費用を含め、紗枝はとにかく金をつかった。その元手となるものは、すべて裕治の収入によるものだ。火遊びを愉しむラブホテルの代金までも。結婚して六年になるというのに、貯蓄はわずかしかなかった。
 湯水のごとく金銭を浪費する紗江を、夫は責めるどころか「趣味がいっぱいあって良いね」と微笑んでくれた。子供ができない自分への嫌味だと、以前の紗江はひねくれた捉えかたをしていた。
 あれは本心からのことばだったのだ。妻が落ちこむことのないよう、気をつかってくれていたのに違いない。
 新築のマンションでの、気ままな専業主婦の暮らし。理解のある、やさしい夫。いま考えれば幸せそのものだった。
 若い男と遊んでいた自分が、ひどく愚かな存在に思える。もし無事に帰りつくことができたら、やりなおそうと思う。謝りたいと思う。祐治に尽くしたかった。
 祐治との平和な生活を想像する。また、新婚のときみたいに仲良くしたい。子供だって、まだ遅くはない。いっしょにお風呂に入って、湯上りにはちょっとだけお酒を飲んで、そのあと……。
 頭がぼんやりしていた。
 足取りも覚束ない。まっすぐ歩けていなかった。膝が笑っているのか、ときおり下半身が大きく揺れる。目もうつろだ。惰性で前に進んではいるが、倒れるのは時間の問題だった。
 轟音が、鳴り響かなければ。
 紗枝は現実に引き戻されていた。耳が痛い。鼓膜に傷を負ったかもしれない。すさまじい破裂音だった。
 火薬の臭いが漂っている。近かった。後ろで笹をかきわける音。轟音のせいで遠く聞こえる。しかし、がさがさ、ぱきぱき、と何者かが近づいてくる音は、たしかに耳に届いていた。
 走って逃げるという選択肢は、すでに頭から消え失せている。先ほどとは違うふるえが、太股の上まで伝ってきていた。
 おそるおそる、振り返る。もう十歩の距離に迫っていた。
 土で汚れた登山靴が草むらの中から飛び出していた。作業服の胸元に散らばった赤黒い斑点には、見覚えがある。チェック柄のハンチング帽にも。
 猟銃を両手に抱えた古森が、薮と道との境に立っていた。紗枝が振り返ったのと同時に、足を止めている。無精ひげだらけの顔が、にやりと歪んだ。
 長い銃身の先は、紗枝に向けられている。
 声が出せなかった。息が詰まりそうだ。胸の鼓動だけが、忙しく働いている。ふるえる脚で立っているのが精一杯だった。背中のほうから、からだが冷えていくのがわかる。
「暑いのか。なら、ジャンパーを返せ」
 裸身を舐めるように見ていた古森が、銃を構えたまま命じた。乳房に向けられていた視線が、脇に抱えられた紺のジャンパーに移っている。
「早く、せい」
 紗枝は動かない。おびえきった瞳は、黒い銃身の先を見つめている。暗い銃口が、死を誘っていた。
 ランドクルーザーの後部座席に乗せられていた女の姿が、脳裏に映しだされていた。胸にぽっかりと穴の開いた、裸の死体が。
 舌を打つ音が聞こえた。
 銃身が大きくぶれる。紗枝が悲鳴をあげるよりはやく、銃口から火が噴いていた。
 銃声は森の音すべてをかき消し、幾度も山に反響しながら去っていった。銃口から昇る白煙とともに。
 目を瞑る暇さえなかった。紗枝は身じろぐこともできず、立ち尽くしていた。見開かれた目は、手前の地面に向けられている。
 紗枝の足先から一メートルほどの場所に、野球ボール大の窪みができていた。硝煙の臭いは薄れるにつれ、野草の青くささが鼻の奥に広がっていく。生えていた雑草は根も残さずに消失していた。
「あ……う、あ……」
 細切れになった葉と土が、裸身の前面に付着している。脛から乳房にかけて、広範囲に飛び散っていた。紗枝はようやく撃たれたのが自分ではないことを悟った。
 胸に留まった息を吐き出す。緊張が緩んでいた。膝の力が抜けて立っていられない。ぺたりと、紗枝はその場に尻をついた。
 太股が妙に温かい。股間のあたりから、土の上に液体が広がっていく。紗枝は知らず失禁していた。
「また小便か。股の緩い女だで」
 頭上から嘲笑が浴びせられる。いつの間にか、すぐそばまで近寄られていた。ニホンザルに似た赤ら顔が、放尿をつづける紗枝の股を覗きこんでいる。
「隠すな」
 せめて股を閉じようとした紗枝に、厳しい怒声が飛んだ。内側に動きかけた膝が止まる。太股の間で水音をたて、広がっていく尿を、古森は黄ばんだ眼で眺めていた。薄い唇を何度も舐めている。
 おそろしくて古森の顔を正視できない。紗枝は恥辱よりも恐怖にふるえながら、流れる尿を見下ろしていた。
 からだのどこにこんな水分が残っていたのかと思う。生温い空気が喉をひりひりと疼かせる。緊迫した状況が、渇きを強めていた。
「終わったか、小便女」
 あざける声に混じって、かちゃかちゃと金属の擦れる音が聞こえた。ためらいがちに仰ぎ見る。古森は腰の作業ベルトを外していた。猟銃は肩掛けに吊るされ、黒い銃口は天を向いている。紗枝はほっと胸を撫で下ろした。
 犯される、ということは問題ではなくなっていた。
 殺されるか、生き延びられるかの瀬戸際だった。紗枝は昨夜、フランケンシュタインに似た化け物に陵辱されている。諦めがついていた。相手は狂人なのだ。彼らを相手に常識や法律は意味を持たない。すでに撃ち殺された女の死体を見ている。
 当面の危機は去ったと思っていいはずだ。すくなくとも、行為が終わるまでは殺そうとすまい。
「しゃぶれ」
 古森が低い声で命じる。作業ズボンと黄ばんだステテコ、それにトランクスが、膝の上まで下げられていた。伸び放題に伸びた剛毛の中に、萎びた男根が埋もれている。
 見るからに不潔そうだった。何日も入浴していないのは間違いない。アンモニア臭が鼻腔を刺激する。
 紗枝は身を起こし、古森の前に膝をついた。涙を目に溜めつつ、不衛生な黒い陰毛に手を伸ばす。抗うことはできない。背にある猟銃が、威嚇だけに終わらないことを紗枝は知っている。
 すくいあげるように、しなだれた陰茎を握る。勃起していないにしても、ひどく小さい。亀頭のほとんどが包皮に覆われていた。口に入れることを思うと、肌が粟立ってくる。
 ちらりと、古森の顔を窺った。欲情に血走った目と、額に浮かぶ青すじが視界に入る。紗枝はあわてて目を逸らした。出会ったときに感じた人の良さそうな印象は、微塵も残っていなかった。
 あきらかに古森は苛立っていた。ためらいや嫌がるそぶりは、さらに機嫌を損ねるだろう。要求に従うほか、紗枝に道はない。
「う……」
 舌先でぶよぶよと柔らかい肉茎をつつく。いきなり咥える気にはならなかった。
 ぴりぴりと舌が痺れる。苦かった。開けた口や鼻から、蒸れた男の下半身の臭いが流れこんでくる。清掃されていない、公園のトイレに似た臭いもする。必死で吐き気を堪える紗枝の眦から、涙がこぼれ落ちた。
「ほぅ、もっと舐めれ」
 愉しんでいる声だった。無精ひげに囲まれた薄い唇の端が、ぴくぴくと引きつっている。
「えう……」
 紗枝は息を止めて、舌を肉棒の上に這わせた。睫毛を伏せている。汚れを目にしていると、からだがどうしても拒んでしまう。
 舌が腐りそうだった。ひと舐めするごとに、塩辛い味が広がっていく。小便と汗の混じった味だ。せめて唾液を絡めることで臭いを抑えたかったが、口の中も渇いている。舌の上がいくらか湿っているだけにすぎない。不潔な男根の味を、紗枝はじかに味わうことになった。
「先のほうもだ、小便女」
 化粧のくずれた顔が苦痛に歪む。髪を鷲づかみにされていた。
 思わず、目を開けた。八割がた皮を被った亀頭を見つめる。おそらくはもっとも臭いがきつく、汚れているところだろう。小便をしたばかりかもしれない。何日も風呂に入っていないかもしれない。汚物にひとしかった。たとえ百万円もらったとしても、舐めたいものではない。
 けれども、拒むことは許されていない。髪をつかむ指の力が強まっていた。紗枝は覚悟を決め、肉茎の上に置いていた舌を、わずかに姿を見せている赤黒い亀頭に触れさせた。
「うえぇ……」
 嫌悪の情を抑えることができない。眉間には深い皺が刻まれていた。口や喉はからからなのに、睫毛を濡らす涙は次々とあふれ出る。からだが拒絶しているのだ。
 頭皮に与えられる痛みは増すばかりだった。紗枝は顔をぐしゃぐしゃにしながら、懸命に舌を動かした。半ばまで皮に覆われた尿道口の下から上へ。親指ほどの萎んだ肉棒の先を、必死で舐めまわす。
「そんなに、うめえか。わしのチンポは」
 せせら笑ってはいたが、髪を握りしめる手は固いままだ。緩む気配はまったくない。すこしでも奉仕を怠ろうものなら、容赦なく引き抜かれそうだった。
 なんとか唾液を滲ませた舌を、硬度のない男根の先端に押しつける。もう臭いや汚れなど、気にしていられなかった。毛根に伝わる激痛から逃れたい一心で、はしたなく舌をいっぱいに伸ばし、鈴口をこすりあげる。
「よし、くわえろ」
 古森が喉を鳴らした。幹をつまむ指には勃起が伝わってこないが、興奮しているのは間違いない。低い鼻から漏れる息が、乱れている。
 赤ら顔の薄汚い男の命令に、紗枝は素直に従った。やや厚ぼったいくちびるを開き、短小包茎の陰茎を口に含む。むわっとした熱気と臭気が口内に広がった。
「ぐふっ……んん……」
 思わず咳きこんでしまったが、口を離しはしなかった。これ以上、不機嫌にさせるわけにはいかない。男の尻へ両手をまわし、指を絡める。毛深い股間に、自分から顔を押しつけていく。根もとまで咥えこんだ柔らかい肉棒を、やさしく吸いつつ舌の上で転がした。
「おっ、おほッ……」
 愉悦の声がこぼれる。ここまでされて気分が悪いわけがなかった。紗枝は古森の尻を抱き寄せるようにして、股間に顔を埋めている。頭髪を苛んでいた痛みが、ようやく消えていた。
(勃起、して……おねがい……!)
 下腹部を覆う縮れ毛が鼻をくすぐったが、かまわず口内での愛撫をつづける。置かれている状況と立場を、悟りつつあった。
 紗枝は獲物なのだ。捕らえられたけものと同じだ。狩猟者の戦利品にすぎない。殺そうが犯そうが自由なのだ。生殺与奪の権利を握られている。すべては古森の気分しだいだ。
 車の中で見た女のような姿にはなりたくなかった。まだ死にたくない。あんな惨めな死にかたはいやだ。
 尽くすしかない。従順に奉仕して満足していただくほか、生きながらえるすべはなかった。
「んっ……ちゅっ、んちゅっ……」
 鼻声を漏らし、媚びをふんだんに含んだ視線をおくる。フェラチオは得意ではなかったが、できるかぎり、思いつくかぎりのことをするしかない。いやらしく音をたてて陰茎を吸い、夢中になって舐めた。
(あ……かたく、なって……)
 湿り気を残した舌の上で、芯が通るのを感じた。むくむくと口内で膨らみはじめる。勃起するにしたがって包皮が剥けていく。内側にこびりついた垢が、ひどい悪臭を放っている。紗枝は息を止めた。すくない唾液に混ぜて、汚れを喉の奥に送る。
 からだを汚物で満たされたような気がする。顔には表さなかった。これからが正念場だった。殺したくない、失うには惜しいと思わせなくてはならない。
 古森のうしろに組んだ手を解き、股の間へと這わせていく。くすぐったいのか、体毛の濃い太い脚が、ぴくぴくと揺れた。一方の手を、醜く垂れ下がった睾丸にあてる。指先でくすぐると、口内の陰茎が小さく跳ねた。
 勃起した肉棒は、それでも紗枝の人差し指ほどの長さしかなかった。硬度も弱く、魚肉ソーセージくらいの張りしかない。若い男とはまるで違う。完全には勃起しないのかもしれない。猛々しさがまったくなかった。
 皺だらけの陰嚢をすくいあげ、掌の上で転がす。半勃起の男根をぽってりしたくちびるで吸い上げながら、口内で裏側を舐めあげる。はむはむと歯をたてずに噛む仕種をつづけていると、覚えのある苦味が舌の上にこぼされた。
 先走りだ。
 浮気相手の明俊にはフェラチオをしてやることもあったが、紗枝はこの味が大嫌いだった。苦いし、なにより汚らしい。明俊は舐めとって欲しがったが、冗談ではなかった。そんなにしてほしければ商売女に金でも払うか、もっと安い女で満足していればいいのだ。
 古森は気持ちよさそうに目を細めている。吐き出すわけにはいかない。肉棒の裏側に広げるように押しつけた。それが刺激になったらしい。次々と先端から粘液が噴き出され、舌上に鼻をつく苦味が広がった。
「ん、う……」
 ついに紗枝はあきらめ、意を決して飲みくだした。伏せた瞳の上に、涙が溜まっている。
「もっとうまそうに、しゃぶれ。小便女」
 下卑た声がはずんでいる。分厚い手から髪が解放されていた。代わりに後頭部を押さえつけられ、茂みの濃い股間へと引き寄せられる。鼻先が下腹の肉にめりこみ、陰毛に埋もれた。
「うっ……うぐぅ……んん」
 陰茎を根もとまで咥えたくちびるの端から、くぐもった涙声がこぼれる。短小な男根が喉を突くことはなかったが、息苦しくてたまらない。息をするたびに、汗と小便の蒸した臭いを吸いこまなくてはならないのだ。瞼からあふれた涙が、頬を滴り落ちていった。
「うえぇっ……えぐっ……」
 休ませてすら、もらえなかった。男の尻が小刻みに揺れる。紗枝のくちびるを出入りする肉棒を、古森は目を剥いて見下ろしていた。開いた口の間からは黄色い歯をのぞかせ、短い息を吐いている。細かい唾のしずくが、奉仕している女の頭に飛び散った。
 半勃起が口内で暴れている。肉棒の裏側が舌の上に押しつけられ、ぐりぐりとえぐるように擦っていく。鈴口から噴出した粘り汁が、頬の内側や歯に撒き散らされていた。
 満足させるどころではなかった。性器の代わりに口を犯されているだけだ。紗枝は懸命にくちびるを締めつけ、吸いついた。口の中で跳ねまわる男根を舌で追い、絡める。できることはそれだけだった。せめて逆鱗に触れぬよう、口を性器としてつかっていただくほかない。
「んぐっ……ぢゅっ、ちゅっ……」
 腰が前後する動きに合わせ、吸いたてる。頭は両手で上から固定されていて、動かせない。玩具にされているも同じだった。歯をたてないように気をつけるだけで、ほとんど何もできないにひとしい。突き立てられる肉棒の速度は、徐々にはげしくなっていった。
(はやく、終わって……おねがいっ……)
 小さく硬さも足りない勃起とはいえ、好き放題に口を突かれて苦しかった。下腹が鼻の頭に打ちつけられるのもつらい。はやく解放されたかった。
 ふいに男の後ろに手をまわしていたことを思い出す。右手が睾丸に触れていた。皺だらけだった玉袋が、張りを強めている。さっきより熱くなった気がした。
(射精、するの? だして……はやく、射精して!)
「んっ……ちゅぶっ、ちゅぶっ……!」
 切なそうに目を細め、潤んだ瞳を古森に向ける。目で訴えたつもりだった。射精を哀願したつもりだった。紗枝は口内で熱を溜めていく肉棒にむしゃぶりつく。わずかながら膨らみを増していく肉茎に、喜びさえ感じていた。
「むおおおッ……!」
 低い呻きとともに、掌の中で睾丸が震えた。舌の上に液体が叩きつけられたのは、そのあとだった。
「ふむううっ……?」
 思わず、顔を背けそうになる。だが頭頂部を上から押さえつける太い指が、それを許さなかった。肉棒は口の中で二度、三度と脈打ち、生温い精液を噴出させていく。びくびくと震える男性器の脈動が、舌とくちびるに伝わってくる。
「えううぅ……」
 悲しそうな声を漏らす紗枝を見下ろし、古森は顔を気持ちよさそうにぶるぶると腰を揺らした。酒焼けの顔が、さらに赤く染まっている。低い鼻の穴が開ききっていた。
「うぐっ……」
 とどめとばかりに、体毛に覆われた股間が押しつけられた。紗枝の口内はすでに吐き出された精液で満たされている。くちびるの端から白みがかった液体があふれ、男の陰毛にこぼれ落ちた。
 残滓まであまさず注ぎこみ、古森はようやく体液にまみれた肉棒を引き抜く。はやくも萎縮しはじめていた。
 口中には、劣情のままに注がれた精液が溜まっている。生温かい液体は、水っぽかった。濃度は高くないが、生臭くてたまらない。鼻水でうがいしている気分だった。
(の、飲まないと……)
 口内に射精されたことすらはじめてだった。もちろん精液を飲んだことはない。舐めてみようとすら思わなかった。紗枝にとって男根から出るものなど、ただただ汚らしいものでしかない。どうして男はこんなものを出して喜ぶのかと思う。
 けれども、いまはそんなことを主張できる場ではない。
 欲望を果たし終えたいまこそ、もっとも危険だった。用が済んだと撃ち殺されるかもしれない。紗枝は吐精されたものを嚥下することで、服従を示そうとした。美味しそうに飲んでみせることで、古森を悦ばせようとしていた。深く目を閉じ、息を止める。
「うぅ……こふっ……くふっ、ごふっ……」
 喉は鳴らなかった。紗枝ははげしくむせていた。口の端から、鼻の穴から、逆流した精液が漏れ、地に滴っていく。苦しげに悶える紗枝の目から、涙がぼたぼたとこぼれ落ちた。
 嫌悪感を押し殺し、なんとか飲みこもうとしたが、渇ききった咽喉は粘ついた体液を拒んだ。陰茎が吐き出していった精液は、喉にひどく絡みつき、食道へと落ちようとしない。無理に流しこむには唾液が不足している。からだが異物と判断し、受けつけなかったのも無理はなかった。
 咳はなかなか止まない。喉の奥どころか口中に残った半透明の液体すべてを、紗枝は土の上に吐き出していた。
「はあっ、はあっ……」
 平静を取り戻したとき、紗枝は雑草の上に手をついていた。あまりの苦しさに、知らず這っていたらしい。視線の先に、泡だらけの液体が溜まっている。その横には、土にまみれた登山靴があった。
 はっとして、仰ぎ見る。細められた目が、冷ややかに紗枝を見下ろしていた。当初の役割を終えた、獲物を。
「ご、ごめんなさい……! 喉が、渇いて……」
 古森へと向き直り、まだズボンを上げていない脚にしがみつく。「呑め」と命じられたわけではなかったが、責められている気がした。切なげな瞳をおくり、必死に許しを乞う。からだの芯が、冷えきっていた。
「喉、渇いとるんか」
 一瞬、なにか飲み物をくれるのかと淡い期待をする。しかし、すぐに甘い考えを打ち消した。古森は銃身の長いライフルしか持っていない。水筒も、持ち物を容れるナップサックも、汚れた作業服のほかには何も身に着けていなかった。
 薄い唇の端がつり上がっている。ねばついた視線が、おびえる紗枝の裸身にからみついていた。
「しゃぶれ」
 古森は紗枝の眼前に腰を突き出した。男根はすっかり萎んで小さくなっている。咥える前より縮んだ気がした。先端までが包皮に覆われている。
 いやな予感がした。
 汗と涙で化粧の流れた顔が蒼ざめている。逆らえない。鼻先に迫る芋虫に似た男根を、紗枝はふたたび口にした。
(ひどい、臭い……)
 慣れたはずの肉棒は、精液が付着して悪臭を強めていた。口内にすえたような臭いが広がる。もう許して欲しかったが、とても言い出せるものではない。古森は不機嫌を顔に表している。背中の猟銃がいつ紗枝に向けられるか、わからない。
 後頭部に両手をまわされていた。さっきより、力が強い気がする。顔色を窺うべく見上げると、目が合うより先に黄色い歯が視界に入った。古森は笑っていた。
「飲め」
 意味を悟るより先に、温かい液体が口内に注がれた。
「んんんっ? んんんううっ……!」
(やだっ……! これ、おしっこ……! 口のなかに、おしっこ、されてる……!)
 吐き出そうとしたのに、喉が意思を裏切っていた。先ほどとは逆だ。水に餓えきった紗枝の肉体は、男の小便を飲料として受け容れていた。勢いよく噴出する生温い尿を、喉を鳴らし、次々と飲みくだしていく。
「ほ、ほ、ほぅ、小便が、そんなにうめぇか」
 嘲る声が浴びせられたが、いちど潤いを得た喉は動きを止めなかった。喉から胸にかけてが、熱い。塩分の強い尿を飲みこんでいくたびに、ますます水分が欲しくなった。渇きを覚えた喉は、さらに小便をもとめて上下する。心は拒否しているのに、からだがいうことをきかない。いくらでも飲みこんでしまいそうだった。
「うぐっ、んく、んくっ……」
 排尿の勢いは飲みくだす速度を上回っている。懸命に飲みつづけても、すべてを喉奥へおくることは不可能だった。口いっぱいに満ちた尿があふれ、あごから胸、股間まで流れ落ちていく。紗枝は瞬く間に小便にまみれた。
 それほど溜まってはいなかったのだろう。放尿はそう長くはなかった。古森はぶるぶると腰を震わせると、紗枝の口から男根を引き抜こうとした。
「んっ……ちゅっ、ちゅっ……」
 腰を引いても、股間に埋めたまま女の顔がついてくる。陰茎を咥えたくちびるが、なおも黄ばんだ尿をもとめて、しぼり出すように吸いついていた。残滓まで吸い尽くすつもりなのか、未練がましく根もとを締めつけている。
「離さんか! 小便女」
 額を押さえつけられ、やっと紗枝は我に返り、口を離す。舌の奥が熱い。渇きが増していた。
 すこし疲れた顔で、古森は下着とズボンを上げた。男根は小便にまみれているはずだが、気にした様子はない。ベルトを着けながら天を仰ぎ、小さく咳をする。下を向くとともに、痰を吐きかけた。呆然としている、女の額へと。
「うまそうに小便をゴクゴク飲みおって……小便女というより、便器女だで」
 蔑んだ目を向けられ、紗枝は目を逸らした。伏せた睫毛がたちまち涙で濡れる。なんということをしてしまったのか。小便を飲むなど、人間のすることではなかった。はげしい恥辱と後悔に、裸身がふるえ出した。押し殺せなかった泣き声が、鼻の奥から漏れはじめる。
 両手で顔を覆って泣きじゃくる紗枝を見て、古森は興味を失ったらしい。そばに落ちていた自分のジャンパーを拾うと、声もかけずに踵をかえす。山道の端に唾を吐くと、道なりに歩き出した。
 紗枝は殺されることなく、山道の真ん中に残された。素裸のまま、小便だらけにされて。殺人鬼は去ったが、喜ぶことも、安堵の息をつくこともできそうになかった。
 太陽はまだ高みにあり、山道を強く照りつけていた。



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(がとうきょういち)
 日々、頭痛に悩まされながら官能小説を書いています。
 いろいろなジャンルに手を出していくつもりです。よろしければ読んでいってください。
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